荒川のホームレス

荒川の近くに住んでいたときよく見るホームレスがいて、河川敷に住んでいるらしかった。服は着ていたけど長ズボンの両脇が腰まで裂けていて、つまり短パンの股間に二枚の布がまとわりついているみたいな状態で歩いていた。河原の土手でよくすれ違ったが毎回同じそのズボンだった。何年間も。

ショッピングカートに荷物を載せて夏でもコートを着て着ぶくれしている人がいた。暑くないのか不思議だった。

荒川のホームレスのアニメがなんとなく苦手だったのは先に彼らを見ていたからと言うのもあったのかもしれない。私には荒川のホームレスにファンタジーを潜り込ませたり上書きしたりする気力もなかった。他人の創作を楽しむことさえできなかった。

ホームレスを避難所に入れなかった話でそんなことを思い出した。ホームレスを入れろって言うけど耐えられないぐらい臭い場合があるんだと言ってた人がいて、そうかも知れないと思った。

入れるべきだという人もいた。まあそれが当たり前だ。