頑張ってくださいという言葉

コミケうつ病の作家さんと隣り合ったことがあった。挨拶して本を交換して普通の世間話をしているうちに、本の内容に触れ、ややマイナーな月刊漫画誌の話で盛り上がった。その月刊誌を読んでいるリアルの友人は一人もいなかったので、その話が出来るのが初めてのことだった。
昔商業誌で書いていて、うつ病で半引退のような状態になった、と彼はいってた。
隣は中堅どころで、短い列が出来たり消えたりしつつひっきりなしに本が売れていた。多くのファンが頑張ってくださいと言っていた。
鬱病の人に頑張っては禁句とはいうが、世の中でこれほどがんばってと言われる場もない。
頑張ってくださいって言われて大丈夫なんですか位の失礼なことを聞いたのか、もの問いたげな視線に答えてくれたのか思い出せないけど、病み上がりには頑張ってくださいはきつい、と苦笑いして言っていた。
でも別に悪気はないんだし、他に適当な言葉もないし、と。
人間は別に化学薬品じゃないんでこの言葉では必ずこう反応するとかは無い。文脈が、意味が、意味の無さが分かっていれば、大丈夫なものだなあと思った。
その人が商業で単行本を出していて、良かったなと思って、書いてみた。