思い出したこと

昔品川で働いていた頃目白駅から椎名町まで歩いて帰っていた。夜8時ころ、目白通りの裏にある車の通らない裏道で、赤ちゃんの鳴き声を聞いた。そこは住宅街で、大きいお屋敷が多い。どこかに赤ちゃんのいる家があるんだろうなと思っていた。そしてしばらく歩いても赤ちゃんの声が聞こえる。まだ、もしくはまた泣いてるのかと思って歩き続けた。しかしその後も聞こえるので不思議に思った。どこかで別の赤ちゃんが泣いているのか。複数赤ちゃんがいた場合赤ちゃん三人分くらいは歩いたはずじゃないか、と思って立ち止まったら、だんだん赤ちゃんの鳴き声が大きくなった。街灯の明かりの下恐る恐る振り返ると、泣いている赤ちゃんを乗せた乳母車を押した女性がゆっくり追い越していった。