禁忌と読み

ダンジョン飯を冥府下りとして捉えるというのは前にもあった。そうするとライオスとファリンはキョウダイであり夫婦でもあるという神話でよくあるタイプの結びつきなのかもしれない。生き返らせることに成功した神話はないのだけど。

もっと様々な読解があるのだけれどはてブ民はバズった解釈にとらわれがちだ。マルシルとファリンのカプリングも同性であるという以前に異種であるということをなぜか忘れられがちだ。ハーフエルフであるマルシルは子をなせない。しかしそれが何だって言うんだという生き方への肯定だし同種族異性愛婚姻生殖(でなければならない)というドグマを破る様々な愛の(愛以前の)形が描かれていた。それは魔物を食べてはいけないという禁忌を犯した生への執着から同じく生に縛られたシスルの最期に与えられる彼の人生への肯定にも見える。

おそらく今後緩やかに魔力が失われ合理化し近代化するなかで食べ食べられ生きて死ぬ彼らの話はあの解釈だけが正しいとも限らない。