美味しい炒飯

昔一時期自転車で行ける距離にある中華料理屋すべてで炒飯を食べてみようとしていたことがある。おいしい、安い店を探していた。
高い店なら安定して美味い。それは当たり前だけど、そうじゃない中で美味しい炒飯の店を探していた。
途中で同じ店でも作る人によって、時間帯によって、何かの巡り合わせによって味が大きく変わることがわかって混乱した。数値化出来ないことがはっきりした。序列化もできない。探すことが無意味に思えてきた。
ある個人経営の店に入ったときに、どうも信頼できないおばあさんが出てきて、電子レンジの音を鳴らしたあとに炒飯を出してきた。どうみても業務用じゃない小さい冷蔵庫からタッパーを出して、謎の漬物をつけてくれた。焼き飯にはかまぼこが入っていた。
その日以来新しい店を開拓することはやめた。チェーン店で食べるようになった。当時巡ったどんな店よりもあの店の位置と外観、内装は強烈に覚えている。
ストリートビューで見たらもう無かった。