ぼんやりした読者

ファンタジーノベル大賞が無くなるのは残念だ。ファンタジーの熱心な読者ではないんだけどよく読んでいた。あと雲のように風のようにってレンタル店でジブリの棚に置かれがちだよね。
そして鏡の影も日蝕も読んだんだけど言われるまで「類似」に気づかなかった。
なのでいま古野まほろの作品のパクリ騒動も、見逃した人の気も分かるというか、私もぼんやりした読者なので、ミステリーの熱心な読者でもないので、言われなければ見逃すだろうと思う。
いくつもの要素の類似はありふれている。星海社は具体的な作品を上げて反論している。文化祭での事件がどうの、云々。でもそうじゃなく、それらが一作の中で全部揃うこと、が問題なんだ。それぞれはサイコロで6の目が出る程度のあり得ることかもしれない。でも何回も、何十回も起こったら。
それを偶然で押し通すのは無理なんじゃないか。百回連続することもそりゃありえるだろう。でも創作ってサイコロをふる1万回の試行なのか?
無理を通すと道理が引っ込む。星海社の誠意ある対応をあんまり関係ない消費者として望んでいる。
この二つはよく考えると
「お前の会社から出してる小説いいな、おれがかっこいい文体で書きなおしてやったからデビューさせてくれ」
って言ってきた素人相手にそれが自社の小説を元にしていると見抜けず、デビューさせてしまったという共通点がある。パクリ元が同じ会社なのは二例とも偶然じゃないだろう。