石投げ運動に石を投げろ

昔小学校の児童会の委員長の集まりで石投げ運動をやろうという教師の提案があった。石投げ運動とは何かを説明したプリントが配られた。
石投げ運動とはとある小学校のある生徒が早朝に校舎を自主的に掃除しはじめて、石を投げた波紋のようにそうする生徒がどんどん増えたんだそうな。それが石投げ運動と呼ばれているらしい。同心円になった波紋のイラスト。
この小学校にも波紋を作りたいらしい。
児童会の書記だった私はそれを模倣することはおかしいんじゃないか、と反対した。
石投げ運動とは現象に付けられた名前であって、一日目に一人、三日目に三人、一週間後に十人の自主的な参加者を募集し動員したとしたなら、一見石投げ運動に似ているがその本質から外れてしまう。
やるように決定したら即自発的ではないのだからこのような会合でやるべきかどうか議論すべきではない。やるべきかどうかを決める権限すら誰にもない。
やりたければその意図を隠してあなたが、もしくは誰かがたった一人で始めるべきだった。
と言った内容を小学生レベルの語彙と論理で必死に説明した。
私に賛同する人が多く、あるいは掃除が面倒くさく思っている子どもが多く、その提案は却下された。もちろん石投げ運動は起こらなかった。
昔から自主的にやることを強制する空気が大嫌いだった。強制じゃないけどみんなやってるよ、とか。
とはいっても今ではそんなでもない。悪名高い交通安全協会にさえ言われるがままに金を払っているていたらく。
自転車の防犯ステッカーも任意で、つけなくても構わないんだけど、職務質問のたびにものすごく面倒な事になるらしいのでつけたほうがいい。
もちろん職務質問を受けるのも任意なのだけど、転び公妨って技もあるんで逆らわない方がいい。