ぶんけいお!!

けいおん!!5話を見た。
忘れ物のデジカメを写真に撮ってメールに添付するアヴァンから、視線について意識させられる。代わりに(部長の律ではなく)澪さんたちに撮ってもらってね、と憂は正しく保護者的役割を見抜いている。
「今、富士山のなか、新幹線が見える」という文章に富士山の画像が添付されたメール。主語を省いて目的語と補語を間違えている強烈な文章は、富士山から見える新幹線を想起させる。私はこの文章によってイマジナリーラインを越えさせられ、左から右に、西に向かう新幹線を思い浮かべた。
唯はしばしば字義通りに物事を受け取る。軽い音楽と思い込み、律ちゃんは悩んでいると思い込む。ひょっとすると意識において間違えていないのかもしれない。
つまりもし今あなたが富士山の中にいたら私たちの乗った新幹線が見えるだろう、と。
まあ単純に書き間違いだろうけど。
お留守番の二年がちゃんとした軽音部、缶蹴りする軽音部を想像してタイトル。
不在の三年に向けられている視線が主題になる。
一時的に最上級生になった二年生たちは、センパイらしくふるまい、梓はこうであって欲しい先輩を一時的な後輩に演じて見せる。
不在のピースが必要な15パズルゲームのように、不在が連鎖する。
お姉ちゃんがいなくて寂しい、二人が泊まりにくる、泊まりに来てくれるお礼にジャズ研を手伝う? 
憂と梓がしっかりしているのに対しまるで唯と律をあわせたような自由さの純が活躍する。
予定していた動物園行きは雨のために中止し、6巻がないので純は寝てしまう。晴天の京都を満喫する写メを見せられた梓は対抗心を持ったのだろうか。
出来る子の憂が取ったホームラン賞のぬいぐるみでとんちゃんを思い出し、雨の中部室へ向かう。
無かった6巻を発見し、一期の翼をくださいを思い出させる何でもない曲を弾く。弾くこと自体が楽しいんであって、曲はどうでもいいんだろう。
二人はしっかりしているようでうっかりしていて、先輩は抜けているようでおみやげを忘れない。
けいおんぶの文字がバラされ、アナグラムが示され、以前あずにゃんけいおんぶーなんだよ、と言っていた意味がわかる。
やっぱり練習はしないで終わる。ひっぱるなあ。

大学の時一回だけあのモデルとなったスポーツセンターに行ったことがある。そして休日に登校して水槽のなかの生き物の世話をしたことも。
ガラスの中を見ながらいろいろぼんやりと考えていた。
 
今回も幾度もガラス越しに視線が往還する構成だった。雨の室外と水槽からの室内。雨の学校と晴れた京都。メールの画像。バッティングケージの、バスの内と外。
見られることなくモニターを見る視線になる幸福。
私も平沢唯になりたい。