けいおん!!10話 感想

何かになるということが分からない幼児に大人になったら何になりたいかを聞くとロボットとかケーキとか人じゃないものが出てきたりする。
ケーキにはなれないからケーキ屋さんでしょ、なんていう風に言葉の使い方、意味を学ぶ。しかしそれは知識で知っているだけで、何かになるということを知るのはもう少し後になる。何になれて、何にはなれないのか。

けいおん!!10話は珍しく大人が描かれる。現在軽音部の唯たちのように、過去に軽音部だった元少女たち。結婚式に再結成されるデスデビルを、やがて来るかもしれない放課後ティータイムの解散と再結成とに重ねあわせて見てしまう。彼女たちも私たちも。

デスペラードという映画を、大学の時友人と見た。元マリアッチ(音楽家)の殺し屋が最後の戦いに挑む前に、女性に一人で大丈夫なのと聞かれ、仲間を呼んだ、と答える。
タクシーで荒野の町に駆けつける楽器を持った男たち。バンドメンバーだ。
笑った。メンバーは別に殺し屋ではないので敵に撃たれて次々死んでいく。じゃあ何故呼んだ。
来てくれと頼むと再結成する仲間で、思い出した。

この友人は私が入院したときに見舞いに来てくれたし、引っ越すときに手伝ってくれた。京都に行ったときには何度も泊めてくれた。
何か必要なことがあったら呼んでくれと頼んだが、その機会はなかった。

彼女たちの行く末がどうであれ、きっと来てくれと頼むと集まる仲間たちでいることだろう。

昔のさわ子も唯同様に進路志望調査にミュージシャンと書いていたことが分かった。空気を読めという圧力は今も当時も強い。それでもなる人はなるだろう。
 
私の高校は理系である程度賢いと医学部を教師が勧めてきた。本人の意志と無関係に。偏差値と財力に応じて医学部を勧める簡単なお仕事。