夏休みの宿題

夏休みの宿題は最後にやる。だんだんそうなっていった。
小学一〜三年のうちのどこかで、1から10000までを書くという宿題が出たことがあった。私はかなり時間がかかったがやりとげて期限内に提出した。
それを提出しない子は後ろの黒板に名前を書かれ、早く出すように何度も注意された。
彼らは結局最後まで宿題を出さなかった。宿題を出さないと死刑になるくらいの強迫観念があった私はその内の一人の家に遊びに行ったときに何となく何であの宿題をやらないのか聞いた。
意味が無いからと五十嵐くんは言った。
そういう考え方もあったか、と私は衝撃を受けた。
出さなくてもいいという考えのおかげでその後ずいぶん気持ちが楽になった。とはいえ宿題は必ず提出した。真面目だったので。気持ちは楽になったけど日程はきつくなった。
最初に、かつ最後に提出しなかったものは、高校の修学旅行のレポートだった。誰からも催促さえされなかった。