道を歩いていたら、歩こうとする女性の腕を掴んで引き止めている男性がいた。二人とすれ違った。男性がえらく芝居がかったことを言っていて、どうやら別れ話、痴話喧嘩のようなものだ、と分かった。「死ぬから」という言葉に思わず振り返った。
女性のほうは振り返らずに歩いていた。
まえにも喧嘩している男女を見たことがあった。その時は男性が振り返らずに歩く女性の肩甲骨の間あたりを思いっきり飛び蹴りして、女性は前につんのめって転んでいた。道路に沿って蹴られたからよかったけど、車道に蹴り出されたら大変なことになったかも知れない。
二つから得られる一般的な教訓はない。別れるときには後ろに気をつけて、ということだろうか。振り返りたくもない気持ちだろうけど。
