あれは嘘だ

午後のロードショーで途中からコマンドーを見た。この映画を高校の頃クラスで視聴覚室で見たことがある。どの映画を見るかはいつのまにかクラスの面白い人たちが決めていた。学校で高校生が見るのにふさわしい映画はほかにあるだろうと思わせる特に深いところがない映画だった。
前に見たときに気が付かず、今回気づいたことは、BGMのスティールパンだ。それがほのめかす中南米への蔑視。バルベルデ共和国という架空の国を舞台にしているが、バナナ共和国と呼ばれるような政情不安定な国家へのアメリカ的な介入が背景になっている。とはいってもそんなことは本当にどうでもいい。シュワちゃんの大暴れの背景にすぎない。ある意味セカイ系だ。そしてバルベルデ共和国が複数の作品で使われていることをウィキペで知って驚いた。
ポストコロニアルな視座からコマンドーを分析するようなことはもう誰かがやっているんだろう。
そして胸に刺さったパイプから蒸気が出るのはなぜだろう、と疑問に思った。人一人分の厚みの肉塊が最初に吹き出すのを省略したのだろうか。それとも悪役は中身のない空気を入れてふくらます式の人形程度の造形で十分というメッセージだろうか。あのシーンはいい。カタルシスを絵にしたようなすばらしい構図だと思う。蒸気が上に上がっていくのがいい。
そして実況やTLで名台詞が繰り返されるさまは見ていて面白かった。
考えてみると実に高校生向きの映画だ。当時の私は何を不機嫌になっていたんだろう。