なんでも描ける

鳥山明の話でもう一つ思い出したのがデザイン会社の頃の話だ。とにかく仕事でなんでも描かされた、電球でもスコップでも資料無しですぐに描かされて使われた、描けなきゃだめだった、という話。そのおかげでなんでも描けるようになったし自信がついたということだ。

私はその世の中に描けないものがないという話に大いに勇気づけられて戦車や車のタイヤや飛行機や、重なった怪獣の歯や靴紐やパイプ継ぎ手やリボンや爆発炎を描いていた。パクっていたのにそれに気づかず。あまりにも好きで見すぎて覚えていて、自覚がなかった。

当時別に俺はこれらをなにも見ずに独力で描いたと自慢したわけはないが、描けるはずがない。気づかなかったのは恥ずかしいことだ。