けいおん!!

けいおん!!の規範批評はあんまり読みたくない。アニメは、物語は、どうこうすべきだ、なんとかであるべきだ、というのはあんまり好みでない。道徳的に非難する向きも、彼女たちがギターを売ったお金をごまかそうとするときに、どんな風に演出が変わるかを、ギャグとして成立しようと(ごまかそうと)しているかを見たほうがいい。それでもだめなら、まあいい。
じゃあどんな批評が可能なのかといわれるとよく分からない。
表層にツッコむ、三回目の観客のマワリでムギが驚いているといった指摘は面白かった。気付かなかった細部に気づかせてくれるものはありがたい。
過剰な深読み、たとえばモブの確定、キャラ付けは面白かったけど、本筋じゃない。
そもそも論ずるような作品なんだろうか、とも思う。

萌え四コマとして、萌えアニメとして描かれているのかどうかも、そう受け取られているのも疑問だ。受け手が勝手に萌えているんであって作っている方はごく普通にやっていると思う。
できることを丁寧に。別段媚びることもなく。だから平気でアリの女王様の格好をさせたりする。

記号に還元するのも危険だと思う。アニメならではの魅力は諸要素の組み合わせではない。あの質量性を、質量のある残像を、語る言葉が足りない。

とはいえ何かしら語りたい作品ではあるけれども、私には無理だ。
映画を楽しみに生きていこう。