ネットの描き方

5年くらい前に出た推理小説を読んでいて、ネットの描写が丁寧でなんだか大変だな、と思った。こんなことまで説明しなければならない層を読者として想定しているのか、と。
仮にネットで犯行を生中継する、という描写があったとすると、リアリティがある、と思う層と、無いと思う層がいるだろうから、後者に説得力を持たせるには一から説明しなければならない。
ある女性が嘘を上手についたとして、過去に女優をしていて演技の経験があった、という事実を伏線として事前に書いておくとフェアだと言われたりする。後から書くとフェアじゃないと怒られたりする。
薬品を使う犯人は化学科卒だった、そんな程度の辻褄合わせはよくあるが、ネットで薬品の使い方を知った、と書くと何でもありになってしまう。何でも出来ることになってしまう。
ネットで生中継をする人をどう描くと納得してもらえるんだろう。誰でもやるものだと信じてもらえるだろうか。
DVDのコピーの仕方を説明しただけのムックが本屋で複数出ていて、そういえばそういう需要もあるんだなあと思って、いろんな人に向けて本を書く人は大変だな、と思った。