こじつけ

村上隆の文章で一番良かったのはスタジオボイスのマニア特集で書いていたアニメについての文章だ。リミテッドアニメが不均等に中割を入れ、不均質な絵を描くことで奇形的な動きを作り出していることを解説していた。
カクッカクキュイーンと言った擬音でその変な動きをなんとか言語化し、表現しようとするそのやりかたは、作画オタクが今ほど一般的じゃなかったころには珍しく、貴重で、価値があった。板野サーカスや金田アクションがすごいというアニメ誌での特集は既にあったが、いわゆるサブカル誌において日本のアニメが特殊で価値があるといった論陣を張り、技術的に何をしているのかを解説したのは彼の功績だ。
紅白梅図と爆発エフェクトを並べ何とか日本画とアニメをこじつけようとしていたその論旨は彼が成功した今となっては普通だが、当時は変なこと言ってる画家がいる程度の話だった。
そのこじつけ方の必死さ、内的必然性が今はもう失われている。既に舗装されたサーキットを走っている。今の美術手帖の文章を読んで思った。もっと頑張ってこじつけろ。
彼が作ったオタクとアートの密輸ルートを垂直な関係を持った弟子たちが走りまわり、国境警備隊に撃たれている。作った絵よりかっこいいポーズのほうが人気だったり、掲示版に書きこむたびに早くチンコに釘を打てと言われたり。
いまだにピクシブに益体もない作業風景の写真を上げているのはどういうつもりなんだろう。ブログでやればいいのに。