いない乳児

片目のない赤ん坊の夢を見た。右目の眼球のあるべきところに空隙があり、その子の親から私が預かっているうちにそうなったように私には思える。最初は両目があった、と思う。その子は最初から片目だったのか、とても気になる一方でこのまま最初からそういうものとして親子が帰ってくれたらいいとも思う。とても幸福そうに赤ん坊は笑っている。何が起きたのか起きていないのか分かっていない。目玉でも転がっていないかと周りを見回したが、その下の水色の敷布に白いタオルケットは見覚えがない。その親と私の関係もわからない。この夢は体験に基づいていない。なのに私の責任で片目を失ったのかもしれないという罪悪感や疑念でいっぱいになる。
私がこの子の親なのかもしれない、という可能性に気づいて目が覚めた。目が覚めてもしばらくあのままじゃホコリが入りそうだから義眼をいれた方がいい、というようなことを心配して、その子がいないことに安心したりする。
そんな夢を見た理由も少しわかるんだけど、それはどうでもいい。赤ん坊のくだりのまえにもなんかしらあったように思うんだけど、見た夢の話って本当にどうでもいい。